記事:NewsWeekより
難解な金隔政策発表だったが、わかりやすい記事を見つけた。
もはや金融緩和は限界だ。拡大して経済によいことはない。副作用、リスク、コストを考えると拡大するべきではない。
一方、これで何もしないわけにはいかない。金融市場の怒り、暴落、円高も怖いし、官邸に対しても、何もしない、というわけにはいかないだろう。何かは、アリバイ作りであったとしてもやらないわけにはいかない。
では、何をするか。
まず、もはや量的緩和は本当に限界だ。これ以上副作用を大きくするわけにはいかない。
とりわけ、国債買い入れ増加額の増加は、政府の発表した28兆円対策と相まって、ヘリコプター・マネーの前哨戦を連想させる。したがって、これはできない。
次に、マイナス金利の拡大は、-0.1%から-0.2%への変更なら、ほとんど効果もないが、実害もなく、金融政策の筋としても、金利引き下げだから、理論的には整合的だし、説明もつきやすい。もっともまともだ。
しかし、金融機関、銀行の反発が怖い。前回、あまりに評判が悪く、三菱でさえ反旗を翻した。これは政府としても良くないから、官邸からも批判が来るだろう。だからできない。
となると、質しかない。ETFの買い入れなら、またマーケットの流動性はあるから買い入れは出来るし、額からいってもたいしたことはなく、ほとんど実害はない。日銀の財務にとっても値下がりするとしても多少のことであり、減損額は生じたとしてもほとんどない。しかも、株式市場は喜ぶ。米国にも為替操作と言われない。誰にとっても悪くない。経済政策として意味はないが、誰にも迷惑はかからない。非難されない。副作用という実害ももっとも小さい。ほとんどない。
これでアリバイ作りをしよう。
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こういうことではないか。
それが最悪なのだ。
実害は、日銀への信頼と金融政策の理念の死。
自殺である。
国債買い入れを増額しないのは良い。当然だ。財政にも、経済にもよくない。
マイナス金利も拡大しない方が良い。これも当然だ。
しかし、ETFを買って何になる。
短期的な株価上昇だけだ。
何のためだ。
投機家たちを喜ばせるだけだ。
最悪だ。
株式市場、金融市場を弄んで、自分たちの利益のためだけに、金融政策を動きづらくする。そのような投機家のためだけに尽くす金融政策とは、いったんなんなんだ。
マーケットに屈したのか。それは考えられない。マーケットに屈する必要は1ミリもないからだ。
では、マーケットに屈した官邸に屈したのか。慮ったのか。
株価対策以外に説明できない金融政策。
最悪だ。
そして、株価にもすぐに見放されるだろう。
総会屋、ゆすりに屈したのと同じだ。
たとえそれが官邸経由、あるいは勝手にそれを増幅させた日銀内部の慮りが理由であっても。それを振り払うために、マーケットを支配してきた黒田総裁がいたのではなかったか。
日銀も、エコノミストも、経済学者も、まともな経済策論争も、言論も、すべて、今日死んだ。
本当の終わりが始まった。
ヘリコプターマネーよりは実害は少ないが、日銀は、精神的に殺されてしまったのだ。
日銀にとっては、終わりの始まりではなく、終わりだ。
今日は日銀の命日にとして歴史に刻まれるだろう。 日銀は死んだ